しゅんを授かったとき、しゅんが自閉症だなんて、ましてや、重度の知的障害があるなんて、夢にも思っていませんでした。
しゅんにそんな障害があるとはっきり医師から宣言されたのは3歳を過ぎたころ。
そこから、たくさんたくさん泣きました。普通に近づけるために、色んな努力をしました。
しゅんに無理をさせてしまったと思います。
私の周りには、障害児がいる御家庭はほとんど見当たらなかったので、最初は、「どうして、私ばかりがこんなに苦労をするのだろう。私が何をしたっていうの?どうして五体満足に生んであげられなかったんだろう。」そんな思いがずっと心の深いところに沈んでいました。
15年経って、社会人になる頃になって、やっと、やっと、「しゅんが私の子どもでよかったな。幸せだなぁ。」と思えるようになりました。
しゅんは何も変わっていません。私ももちろん変わっていません。
一緒に歩いてタンポポを見て「綺麗だね」と言っても「綺麗だね」とオウム返しが返ってきます。
何の花?と聞いても、相変わらず、考えもせずに「ワカラナイ」と言って逃げたがります。
でも、一緒に歩いて、いや、歩かなくてもいいんですが、一緒の空間を過ごして、言葉はあまり通じなくても気持ちが通じているような感覚が持てることが嬉しいのです。
そして、穏やかで、ふんわりした優しい気持ちにしてくれるしゅんが誇らしくもある…。これはどうやら、私が単に母親だからではなく、しゅんと接するほとんどの人が、こんな感覚をもってくれるみたい。
そんな不思議なパワーを持つ子を授かって一緒の空間を共有できるなんて、幸せだなぁ。
完全に親バカなのですけど、こんな気持ちを敢えて持つことにしています。しゅんのイタズラやトイレを汚すなど…腹が立つことがいっぱいあるのですけど…。
幸せって、幸せだと思ったもの勝ちですものね。